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お口の中の健康と不定愁訴

お口の中の健康と不定愁訴
不定愁訴とは、一般的に「体調が何となくよくない自覚症状があり、検査を受けても明快な原因や病気がわからない状態」をいいます。
「めまいがする」「頭の芯が痛い」「イライラする」「疲れが取れない気がする」「眠れない」「首が痛い」などといった辛さがあり、しかもその症状は患者さまご自身でないとわからないケースがほとんどで、医師が診ても判断しにくいのが特徴です。

心療内科で「自律神経と何らかの関係がある」と診断されたケースもありますが、原因がはっきりわからないことがほとんどなので、患者さまも不快な症状から開放される手段を手探りしている状態です。
男女を問わず、更年期障害や心的ストレス、偏った食生活でのビタミン欠乏症なども、この不定愁訴を起こすものと考えられています。

最近では、歯の噛み合わせや、歯科治療に使った素材が長い間に化学変化を起こし、この不定愁訴の引き金になっている可能性があるともいわれています。
かぶせもの・詰めものは毎日の生活で摩耗していくものですから、噛み合わせを変えてしまう可能性もあります。
また、かぶせもの・詰めものの金属を口の中の唾液に長期間浸しているのですから、それが何らかの変化を起こしていても不思議ではありません。

不定愁訴を起こしている原因が、口の中に必ずあるとは言い切れません。
しかし、可能性はゼロではないのです。
口の中、そして全身の健康を保つ意味でも、どうぞお気軽にご相談ください。

TCH(上下の歯が接触する癖)

不定愁訴でご来院される患者様のお口の状態を確認していると、TCHと呼ばれる状態になっている方がいらっしゃいます。
TCHとはTooth Contacting Habitの略で、上下の歯が常に接触している状態にある癖のことです。

上下の歯の接触が原因で起こる症状としては歯ぎしり噛み締め食いしばりなどがありますが、TCHのように強い力を入れていなくても上下の歯が接触しているだけで、筋肉の緊張や疲労が起こり、様々な症状が表れます。
TCHと不定愁訴との関係
通常、何もしていない時は上下の歯が触れていないのが正常な状態です。
会話や食事などをしている場合でも、上下の歯が接触しているのは1日17分程度と言われています。

上下の歯が接触している時間が長くなればなるほど、筋肉へ負担や顎関節への負担がかかり、口が開きにくい歯の違和感がある、顎関節症などの症状が表れ全身の不調へとつながっていることも考えられます。
TCHが口腔内にもたらす影響
1)義歯性疼痛
  TCHの状態になると食事をしていない時でも、義歯の下の粘膜が圧迫され血液の流れが悪くなり、疼痛が過敏化する可能性があります。また、この状態で食事をすると咀嚼することで粘膜に負担がかかり疼痛が出る可能性があります。

2)歯の慢性咬合痛
 歯の痛みがあるのに、歯には問題がないという場合や歯内療法の治療後、問題がないのに痛みがないという場合、TCHの可能性があります。TCHが原因で圧迫されると歯根膜が過敏化し、歯と歯が少し接触しただけでも痛みを感じることがあります。

3)歯周病の悪化
 歯周病が原因で、ぐらぐらしている歯にTCHによって負担がかかると歯槽骨の吸収が早くなり、歯周病の症状が悪化します。

4)充填物・補綴物の離脱
 TCHの状態だと充填物や補綴物に余計な負担がかかり、負荷が偏ると取れやすくなります。特にブリッジではTCHによって持続的に負荷がかかることで外れやすくなります。総義歯の場合、安定性が悪くなります。

5)歯冠破折
 大きな充填物で修復している歯の場合、TCHの状態にあると残っている歯が欠けやすくなります。

6)慢性口内炎
 TCHの状態では舌が歯に押し付けられたり、頬の粘膜が歯列に押し付けられるため口の中の粘膜の表面に流れる血流量が少なくなります。このため、食品等による外傷がきっかけとなって発症する口内炎は治癒が遅くなります。また、口の中が長時間、緊張した状態になると唾液の分泌が少なくなり、口内炎が再発することが多くなります。

7)舌痛症
 TCHの状態にある人は、舌筋も緊張した状態にあり、周囲の歯列に舌を押し付けています。舌痛症は、舌を周囲に押し付けることで表面の血流が低下して感覚過敏が始まることでおこると考えられています。

8)咬合違和感
 咬み合せの違和感を感じている方で、「歯科医院で治療を受けてから違和感が始まった」と訴えられる患者様が多くいらっしゃいます。この場合もTCHが関係している可能性があります。歯科治療を受けたことで咬み合せに変化が起こり、TCHの患者様は無意識に噛む位置を探すようになり、TCHの状態が長時間化します。そして、歯が圧迫されるので歯根膜の血流が悪くなり、歯の接触感覚が過敏になります。こうなると本来は正常な接触でも強く異常だと感じるようになるため、さらに噛む位置を探そうとし、過敏化を維持するという悪循環に陥ります。

9)舌・頬粘膜の誤咬
 日中のTCHが夕方まで持続することで、咬筋や舌筋が疲労します。そうすると、食事の際に舌や頬の粘膜をあやまって噛んでしまうことがあります。筋疲労が原因で起こるので、夕食時に起こることが多いです。
TCHの治療
TCHの治療

TCHが起こりやすい状況としてはテレビやパソコンなどを長時間見ている際に起こりやすく日頃から意識して上下の歯を離すことが必要です。

当クリニックではTCHの状態と診断された場合、日々の生活のなかでも出来る改善指導をおこなっております。
また、顎関節症や噛み合わせなどの問題がある場合は、問題となっている症状の治療をおこないます。

その不調、噛み合わせの悪さが原因かもしれません。

顎関節症とかみ合わせの関係

最近、あごが痛い・口を開けた時に変な音がするという症状で歯科医院を訪れる方が増えています。
このような不快な症状を引き起こす病気として考えられるのが顎関節症です。

顎関節症の原因としては、現代人の顎が小さくなった、柔らかいものを好む食習慣など様々なものがあります。
そのような原因のなかで最も注意したいのが
「虫歯で歯をなくし、そのままにしておいた。」
「歯科治療をして、噛み合わせの調整をしないまま終了した。」
「歯がねじれて生えている。」
といった本来、治療が必要な状態なのに治療をせず放置したというものです。

これらが原因で、あごが正しい位置になくかみ合わせが悪いまま噛み続けていると、そのゆがみがあごに伝わり、あごの蝶つがい(顎関節)やその周囲の筋肉に不調が出てきたりします。

口の開閉時にカクカクと音がしたり、あくびの度にあご(耳の下あたり)が痛んだり、きしんだりするなども顎関節の症状です。

過去の歯科治療で噛み合わせが悪くなったという方

かみ合わせが悪くなった原因として、以前、歯医者で治療を受けてから悪くなったということをあげる方もいらっしゃいます。
しかし、時代とともに歯科治療の技術も大きく進歩しています。
過去の歯科治療では限界があったものも、今の歯科治療では解決できることがあるかもしれません。

もし、かみ合わせでお悩みの方がいらっしゃいましたら、当院にご相談ください。
患者様の状態を診察し、最善の治療方法をご提案させていただきます。

思わぬ原因、「歯ぎしり」と「噛み締め」

噛み合わせが悪くなる原因として顎の未発達や食生活、過去の歯科治療とあわせて大きな影響を与えるのが「歯ぎしり」と「噛み締め」という癖です。

性別・年齢を問わずに表れる「歯ぎしり」や「噛み締め」は、歯や顎に非常に大きなダメージを与え、ひどい場合には疲労感や痛みが出てくることもあります。
「歯ぎしり」や「噛み締め」の原因には精神的なストレス、力仕事など職業による習慣、歯の異常や顎の不具合など様々なものがありますが本人は無自覚というケースが少なくありません。

歯ぎしりや噛み締めを治すには、ストレスなど原因となっているものを取り除くことはもちろん、患者様、ご本人が歯を噛み締める癖があることを自覚し、意識して歯と歯を離すようにするなどのトレーニングも必要です。

加齢による噛み合わせの不良

年齢とともに「歯の欠け割れ」「歯肉炎」「歯の磨耗」といったダメージが蓄積することによって起こるお悩みが増えています。

こうした症状の場合、原因となる要素を意識的に取り除くことで改善できる場合もありますが、多くは歯の補強や歯肉の治療をおすすめしています。
昔と比べ、平均寿命が伸びている今日では毎日必ず使う歯は寿命が延びた分だけ、使う期間が長くなりダメージも蓄積しやすくなっています。
毎日の口腔ケアとあわせて「長く使える歯の補強」「対人関係と健康を考えた歯の治療」を受けられることをおすすめしています。

歯科・松村クリニックでの噛み合わせ治療

歯科・松村クリニックでは噛み合わせの治療において、あるべき歯の姿に戻すことを第一に考えています。
噛み合わせの調整だけでなく、歯ぎしりや噛み合わせなど悪い噛み合わせを作り出す原因を追求し、原因の除去もおこなっています。

顎関節症など同じ症状の場合でも、患者様お一人おひとりによって、お口の中の状態や生活習慣は異なりますので患者様の状態と希望を考慮した治療方法のご提案をしています。

当院では噛み合わせのチェックもおこなっていますので、噛み合わせが悪いかどうか分からないけど、顎の痛みや不快感、頭痛や肩こりなどの不調があるけど原因が分からないという方は一度ご相談ください。